
「ポートフォリオに作品を載せているのに、なかなか仕事につながらない」
「作品数も増やしたし、デザインも頑張っている。でも評価されない」
Webデザインを学んでいる人の中には、このような悩みを抱えている人が少なくありません。その原因を「作品数が少ないから」「実務経験がないから」と考えてしまう人もいます。しかし、ポートフォリオ添削をしていると、別の問題が見えてくることがあります。それは、「作品そのものが、Webデザイナーとしての評価を下げてしまっている」ということです。ここで重要なのは、「デザインが下手だからダメ」という単純な話ではありません。

一見きれいに作られていても、
「情報を整理できていない」
「ターゲットに合っていない」
「デザインの意図が弱い」
「実務を任せるイメージが湧かない」
「細部の詰めが甘い」
といった理由で、評価を下げてしまう作品があります。
逆に、派手さはなくても、目的やターゲットが明確で、情報設計や細部まで丁寧に作られている作品は、Webデザイナーとしての実力を伝えやすくなります。
この記事では、Webデザインのポートフォリオ添削で「評価を下げやすい作品」に共通する特徴を、作品そのものに焦点を当てて解説します。
※第4弾以降は順次公開予定となります。
第1弾:ポートフォリオ添削で採用担当者が見るポイント
第2弾:ポートフォリオ添削で作品数より重要なこと
第3弾:ポートフォリオ添削で評価を下げるWebデザイン作品の特徴※本記事
第4弾:ポートフォリオ添削で「実務経験がない人」が見せるべき作品
第5弾:ポートフォリオ添削で制作意図を書く意味はあるのか
第6弾:ポートフォリオ添削でデザインスキルを正しく伝える方法
- ポートフォリオで評価されるのは「きれいな作品」だけではない
- 評価を下げるWebデザイン作品①|見た目だけで情報設計ができていない
- 評価を下げるWebデザイン作品②|余白・文字・整列など細部が詰め切れていない
- 評価を下げるWebデザイン作品③|デザインの方向性がターゲットと合っていない
- 評価を下げるWebデザイン作品④|「それっぽいデザイン」で終わっている
- 評価を下げるWebデザイン作品⑤|参考サイトの模倣に見えてしまう
- 評価を下げるWebデザイン作品⑥|作品ごとにデザインレベルが安定していない
- 評価を下げるWebデザイン作品⑦|実際のWebサイトとして見ると完成度が低い
- 評価を下げるWebデザイン作品⑧|制作した本人の担当範囲が分からない
- 「デザインが悪い」だけが問題ではない
- ポートフォリオ添削では「悪い作品を直す」より「載せない」判断も重要
- 自分のポートフォリオを添削するときに見るべきポイント
- まとめ|ポートフォリオは「上手そう」ではなく「任せられそう」を作る
- Webデザインのプロによるポートフォリオ添削
ポートフォリオで評価されるのは「きれいな作品」だけではない
まず理解しておきたいのが、Webデザインの評価は「見た目がきれいかどうか」だけでは決まらないということです。もちろん、ビジュアルの完成度は非常に重要です。
Webデザイナーとして応募する以上、デザインの質が低ければ、それだけで大きなマイナスになります。しかし、採用側が見ているのは、「きれいに作れるか」だけではありません。「目的に合わせてデザインできるか」も見ています。
たとえば、架空の美容サロンのサイトを制作したとします。写真もきれい。色もおしゃれ。フォントも今っぽい。一見すると、それなりに完成度の高いサイトに見えるかもしれません。
「誰に向けたサイトなのか」
「何を一番伝えたいのか」
「予約につなげるための導線はどうなっているのか」
「情報の優先順位は適切か」
が考えられていなければ、Webサイトとしての設計は弱いままです。
「おしゃれなサイトを作れる」と「目的に合わせてWebサイトをデザインできる」は、同じではありません。ポートフォリオ添削では、この違いをかなり重要視する必要があります。
評価を下げるWebデザイン作品①|見た目だけで情報設計ができていない
最初に挙げたいのが、ビジュアルは整っているのに、情報設計が弱い作品です。
これは初心者のポートフォリオで非常に起こりやすい問題です。たとえば、メインビジュアルはおしゃれなのに、その下に何を見せるべきなのかが整理されていない。
✅ 重要な情報が埋もれている。
✅ ボタンが目立たない。
✅ コンテンツの順番に理由が感じられない。
このような状態です。
Webサイトはポスターではありません。
一枚の画面を「きれいに見せる」だけではなく、ユーザーが情報を理解し、次の行動へ進めるように設計する必要があります。特に企業サイトやサービスサイトでは、情報量が多くなるため、情報の優先順位を整理する能力が重要になります。ポートフォリオに掲載している作品が「見た目はおしゃれなのに、情報が整理されていない」のであれば、Webデザインとしては評価を下げる可能性があります。デザイン添削をする際も、色や装飾を直す前に、まず情報設計を見るべき理由はここにあります。
評価を下げるWebデザイン作品②|余白・文字・整列など細部が詰め切れていない
「全体的には悪くないけど、なんとなく素人っぽい」
この印象を生む大きな原因が、細部の甘さです。
✅ 余白が場所によってバラバラ。
✅ 見出しと本文の間隔が不自然。
✅ 文字サイズの差が小さい。
✅ 行間が詰まりすぎている。
✅ 画像のサイズが揃っていない。
✅ 要素の左右が微妙にズレている。
✅ ボタンの高さや余白が揃っていない。
こうした部分は、一つだけなら大きな問題に見えないかもしれません。
しかし、複数重なると一気に完成度が下がります。プロの制作物と初心者の制作物の差は、「大きなアイデア」だけで生まれているわけではありません。むしろ、こうした細部をどこまで詰められるかで差が出ます。
ポートフォリオ添削では、「何となく違和感がある」で終わらせず、「どこがズレているのか」「なぜ違和感が出るのか」「どう直せば完成度が上がるのか」まで具体的に見る必要があります。
評価を下げるWebデザイン作品③|デザインの方向性がターゲットと合っていない
これも非常に重要です。
✅ 高級感を求められるサービスなのに、カジュアルでポップなデザインになっている。
✅ 20代女性向けの商品なのに、古い印象の配色や文字組みになっている。
✅ 企業向けのBtoBサービスなのに、装飾が多く、信頼感よりも派手さが先に出ている。
このような作品は、単純に「センスが悪い」と判断するのではなく、「ターゲットや目的に対して適切なデザインになっていない」と考えるべきです。
デザインには「正解の見た目」が一つあるわけではありません。
同じピンクでも、使い方によって可愛くもなれば、上品にもなります。同じゴシック体でも、組み方によってスタイリッシュにもなれば、安っぽくもなります。重要なのは、「このターゲット、このサービス、この目的なら、この表現が適切なのか」ということです。
ポートフォリオに「ターゲット:20〜30代女性」と書いてあるだけでは意味がありません。実際のデザインが、そのターゲットに向けて設計されている必要があります。
評価を下げるWebデザイン作品④|「それっぽいデザイン」で終わっている
Webデザインを勉強している人ほど陥りやすいのが、「それっぽいデザイン」です。

✅ 流行しているデザインを取り入れる。
✅ おしゃれな写真を使う。
✅ 余白を広く取る。
✅ 英字を入れる。
✅ 細いフォントを使う。
✅ 淡い色を使う。
これだけでも、ある程度「Webデザインっぽい見た目」にはできます。
しかし、それだけではデザインとは言い切れません。
問題なのは、「なぜそうしたのか」がないことです。
✅ おしゃれだから使った。
✅ 参考サイトに似ていたから使った。
これでは、デザインの判断として弱いでしょう。
プロの現場では、クライアントから「なんとなくおしゃれにしてください」と言われるだけではありません。ターゲット、業界、商品、競合、予算、目的、掲載する情報など、さまざまな条件の中でデザインを決める必要があります。
ポートフォリオでも、「流行のデザインを再現できる」だけではなく、「条件に合わせてデザインを組み立てられる」ことを見せる必要があります。
評価を下げるWebデザイン作品⑤|参考サイトの模倣に見えてしまう
参考サイトを見ながら制作すること自体は悪いことではありません。
むしろ、デザインを学ぶうえで優れた作品を研究することは重要です。問題は、完成した作品を見たときに、「これ、どこかで見たことがある」という印象になってしまうことです。

レイアウト、写真の使い方、配色、フォント、装飾、見出しの表現まで参考サイトに近い。
これでは「デザインを考えた」というより、「デザインを真似した」ように見えてしまいます。
特に架空案件では、自由に条件を設定できるからこそ、その人がどのように考えたのかが作品に出ます。
「なぜこの構成にしたのか」
「このターゲットなら何を変えるべきか」
「このサービスなら何を優先するべきか」
を考えることが重要です。
ポートフォリオに掲載する作品は、「参考サイトを再現する力」ではなく、「参考にしたうえで自分なりに設計できる力」を見せるものにしたほうが強くなります。
評価を下げるWebデザイン作品⑥|作品ごとにデザインレベルが安定していない
第2弾でも「作品数より質が重要」という話をしましたが、ここはさらに踏み込みます。
ポートフォリオの作品を見て、「この作品はまぁまぁ良い」と思った次の作品が、「急に初心者っぽい」となるケースです。これは作品数を増やすほど起こりやすくなります。
たとえば、10作品中2作品だけ非常に完成度が高く、残り8作品が明らかに弱い場合。
採用側は「この2作品だけを見て採用する」わけではありません。むしろ、「この人の普段の制作レベルはどのくらいなのか」を考える材料になります。もちろん、すべての作品を同じテイストにする必要はありません。重要なのは、テイストではなく「基礎的なデザイン品質」が安定していることです。
✅ 余白が適切。
✅ 文字組みが丁寧。
✅ 情報の優先順位が明確。
✅ 整列がきれい。
✅ 配色に意図がある。
といった基本が守られていれば、デザインの方向性が変わっても一定のクオリティを保てます。
「得意な作品だけはきれい」ではなく「どんな案件でも一定以上の品質で作れる」ことが、実務では重要です。
評価を下げるWebデザイン作品⑦|実際のWebサイトとして見ると完成度が低い
ここはWebデザイナーのポートフォリオならではのポイントです。
画像として見たときにはきれいでも、実際のWebサイトとして考えると問題がある作品があります。
✅ スマートフォンで見たときに情報が詰まりすぎる。
✅ ボタンが小さい。
✅ 文字が読みにくい。
✅ 長い文章を画像化している。
✅ スクロールしたときの情報量が多すぎる。
✅ ナビゲーションが分かりにくい。
✅ ページ内の導線が弱い。
✅ PC画面だけを前提にしている。
このような作品です。
Webデザインは「画像を作る仕事」ではありません。
ユーザーが実際に画面を操作し、情報を読み、目的のページへ進むことまで考える必要があります。そのため、ポートフォリオ添削では、完成したスクリーンショットだけではなく、「Webサイトとして成立しているか」という視点でも確認する必要があります。特に実際に公開されているURLがある場合は、画像だけではなく実際のサイトを確認したほうがいいでしょう。見た目のモックアップではきれいでも、実装されたサイトでは印象が変わることがあります。
評価を下げるWebデザイン作品⑧|制作した本人の担当範囲が分からない
作品そのもののデザインとは少し違いますが、ポートフォリオでは非常に重要です。
「Webサイトを制作しました」と書いてある。
✅ デザインを担当したのか。
✅ コーディングもしたのか。
✅ 企画や構成まで担当したのか。
✅ 素材は誰が用意したのか。
✅ チーム制作なのか。
✅ 自分一人で制作したのか。
これが分からない。
これでは、採用側がスキルを正しく判断できません。
たとえば、非常に完成度の高いWebサイトが掲載されていても、自分が担当したのが一部分だけなら、その作品から読み取れるスキルも変わります。逆に、すべてを一人で担当したのであれば、それは強いアピール材料になります。だからこそ、「何を作ったか」だけではなく、「自分が何を担当したか」を明確にすることが重要です。これは作品数を増やすことでは補えない情報です。
「デザインが悪い」だけが問題ではない
ここまで読んで、「結局、デザインが上手ければいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実際は逆です。ポートフォリオで評価を下げる原因は、単純な「デザインの上手い・下手」だけではありません。
「目的が見えない」
「ターゲットと合っていない」
「情報設計が弱い」
「実際のWebサイトとして使いにくい」
「参考作品の模倣に見える」
「担当範囲が分からない」
のであれば、実務能力を十分に伝えられません。
だからこそ、ポートフォリオ添削では「このデザインは好きか嫌いか」という個人の好みだけで判断してはいけません。
「このデザインには目的があるか」
「その目的に対して適切な設計になっているか」
「Webデザイナーとしての判断力が伝わるか」
です。
ポートフォリオ添削では「悪い作品を直す」より「載せない」判断も重要
ここまで改善ポイントを紹介しましたが、もう一つ重要なのが「すべての作品を直そうとしないこと」です。ポートフォリオに載せるために作った作品であっても、何度添削しても改善に時間がかかるものがあります。その場合、無理に掲載する必要はありません。ポートフォリオは「これまで作った作品の全履歴」ではないからです。
✅ 場合によっては、似た作品を一つに絞る。
✅ そして不足しているジャンルだけ、新しく制作する。
このほうが効率的です。
第2弾でも触れたように、作品数を増やすことが目的になってはいけません。
「自分の実力を一番正しく伝えられる作品だけを残す」という視点を持つことが重要です。
自分のポートフォリオを添削するときに見るべきポイント
最後に、自分の作品をチェックしてみましょう。
まず、作品を一度「自分が作った」という感情を抜いて見てください。そして、「初めてこの作品を見る人に、何を伝えたい作品なのか分かるか」を確認します。
「ターゲットに合ったデザインになっているか」
「情報の優先順位は明確か」
「余白や文字組みなど細部まで詰められているか」
「参考サイトの模倣に見えないか」
「実際のWebサイトとして使いやすいか」
「自分の担当範囲が明確か」
「この作品を見て、仕事を任せたいと思ってもらえるか」
を考えます。
ここで一つでも「よく分からない」と感じるのであれば、そこが改善ポイントです。
特に重要なのは、最後の「この人に仕事を任せたいと思うか」という視点です。自分が頑張って作った作品だから評価してほしい、ではなく、採用側が仕事を任せる理由になる作品になっているか。ここまで客観的に見ることが、ポートフォリオ添削では重要です。
まとめ|ポートフォリオは「上手そう」ではなく「任せられそう」を作る
ポートフォリオに掲載する作品は、単純に「きれい」であればいいわけではありません。
✅ 見た目だけで情報設計ができていない。
✅ 細部の詰めが甘い。
✅ ターゲットとデザインが合っていない。
✅ 流行を取り入れただけの「それっぽいデザイン」になっている。
✅ 参考サイトの模倣に見える。
✅ 作品ごとの品質にばらつきがある。
✅ Webサイトとして考えると使いにくい。
✅ 担当範囲が分からない。
といった共通点があります。
そして、これらは作品数を増やすだけでは解決しません。
むしろ、問題のある作品を大量に掲載してしまうことで、自分の評価を下げる可能性があります。ポートフォリオで重要なのは、「私はこれだけ作品を作りました」ではありません。「私は、このレベルのデザインを、このような考え方で制作できます」と証明することです。だからこそ、ポートフォリオを作るときは、作品を増やす前に、一つ一つの作品を客観的に見直してください。
「この作品は自分の実力を正しく伝えているか」「この作品を見た採用側は、どんな評価をするか」この2つを考えるだけでも、ポートフォリオの質は大きく変わります。自分では良いと思っている作品でも、第三者から見ると改善点が大量にあることもあります。特に「どこが悪いのか分からない」という状態なら、作品数を増やすより、まず現在の作品をプロの視点で添削してもらうほうが効率的です。
Webデザインのポートフォリオは、自分の努力量を見せる場所ではありません。「この人なら仕事を任せられる」と思ってもらうための営業資料です。その視点で作品を見直すことが、評価されるポートフォリオへの第一歩です。
Webデザインのプロによるポートフォリオ添削
WebデザインスクールAppRizz(アップリズ)では、実際にWeb制作・デザインの仕事を行っている制作会社側の視点から、Webデザインやポートフォリオをチェックしています。

「自分ではどこが悪いのか分からない」
「作品を増やしているのに、なかなか仕事につながらない」
「ポートフォリオに載せる作品を選べない」
という人は、作品数を増やす前に、一度現在の作品を客観的に見直してみることをおすすめします。
重要なのは、作品をたくさん作ったことではありません。その作品から、Webデザイナーとしての実力が正しく伝わることです。



