
Webデザイナーとして仕事をしていると、ときどき非常に気になる営業文句を見かけます。
「Webサイト制作なら何でもできます!」「LPもコーポレートサイトもECサイトも対応可能です!」「SEOもマーケティングも全部お任せください!」「世界観のある良いサイト作れます!」「未経験ですが、勉強したのでできます!」
もちろん、本当に幅広い知識と経験、実力を持っている人なら問題ありません。しかし、問題なのは実際にはできないことまで「できます」と言って案件を取ってしまう人です。これは単に「経験が浅い」という話ではありません。クライアントからお金を受け取って仕事をする以上、できないことをできると言って受注するのは、営業が上手いのではなく、単純に嘘であり危険な行為です。
特に、オンラインスクールを卒業したばかりの副業Webデザイナーや、独学で学んだばかりの人にこの傾向が多く見られることがあります。また、それを繰り返している実力のない中堅・ベテランデザイナーもチラホラ見受けられます。そして厄介なのは、受注するところまでは意外と上手いことです。問題が発覚するのは、その後です。
「できます!」と言って案件を取るまでは簡単
営業段階では、クライアントは制作工程の細かい部分まで分かりません。
「Webサイトを作れますか?」「スマホ対応できますか?」「SEOもお願いできますか?」「WordPressもできますか?」そう聞かれて、「はい、できます!」と答える。
これだけなら非常に簡単です。しかし、本当に重要なのは「できます」の中身です。
✅ 文字サイズはどう変えるのか。
✅ 画像はどうトリミングするのか。
✅ ナビゲーションはどう変化させるのか。
✅ ボタンのタップ領域は十分か。
✅ レイアウトが崩れた場合にどう調整するのか。
そこまで考えて初めて「レスポンシブ対応ができる」と言えます。
ところが、実際には「PC版を作って、スマホ幅を狭くすれば何となく表示できる」という程度の理解で「できます」と言っているケースがあります。これが、制作段階で問題になります。

制作実績をスマホで見てみると、
✅ 余白がおかしい
✅ 配置バランスがおかしい
✅ 文字がやたら小さい
✅ 不自然な改行
✅ レイアウトが崩れている
など実力不足がかなり出ているのをよく見かけます。
「ツールを使える」と「Webデザインができる」は全く違う
これはWebデザイン初心者が最も勘違いしやすい部分です。
✅画像を配置する。
✅文字を入力する。
✅色を変更する。
✅ボタンを作る。
これらができても、プロのWebデザイナーになったわけではありません。
ツールはあくまで道具です。包丁を持てるから料理人ではないのと同じです。Webデザインで求められるのは、ツールを操作する能力だけではありません。
✅「何を目的にしたサイトなのか」
✅「競合とどう差別化するのか」
✅「ユーザーはどこを見て、どこで離脱するのか」
✅「問い合わせや購入までどう導くのか」
✅「このデザインは実装できるのか」
✅「検索エンジンからどう評価されるのか」
こうしたことを考えた上で、初めてデザインが成立します。
だからこそ、ツール操作を覚えただけで「何でもできます」と言ってしまうこと自体が、実務を知らない証拠になってしまうのです。
実際に起こる「できるできる系」Webデザイナーのトラブル
ここでは実際によくあるWebデザイナーのトラブルの例をいくつか挙げていきます。
① テンプレート以外のデザインを求められてフリーズする
「完全オリジナルのLPを制作できます」と営業して受注。
ところが、実際には既存テンプレートの色や画像を変更する程度しか経験がない。
クライアントから、「競合とは違うデザインにしたい」「もっとブランド感を出したい」「この部分に動きを付けたい」「ファーストビューをもっとインパクトのあるものにしたい」と言われた瞬間、手が止まります。なぜなら、参考にできるテンプレートがなくなったからです。
これはデザイン力の問題です。テンプレートを使えることと、ゼロからデザインを設計できることは全く違います。
「おしゃれ」だけど、使えないサイトを作る
見た目だけは派手。アニメーションもある。写真もおしゃれ。フォントも個性的。しかしスマートフォンで見ると文字が小さい。ボタンが押しにくい。背景と文字のコントラストが弱い。情報の優先順位が分からない。これはデザインではありません。正確には、グラフィックとしての見た目だけを作っている状態です。
Webサイトは作品ではありません。ユーザーが情報を取得し、行動するためのインターフェースです。「おしゃれですね」と言われることだけを目的にしてしまうと、Webサイトとしての役割を失います。
SEOを「キーワードを入れるだけ」だと思っている
さらに危険なのがSEOです。「SEOもできます!」と言いながら、「タイトルにキーワードを入れます」「本文にキーワードを入れます」程度しか知らない人もいます。しかしSEOは、単純にキーワードを大量に入れるゲームではありません。検索意図、コンテンツの構造、内部リンク、ページ設計、検索需要、競合、サイト全体のテーマ性、クロールやインデックス、ユーザー体験など、複数の要素を考える必要があります。それにもかかわらず、少しSEOについて勉強しただけで「SEO対策もできます」と営業する。これはクライアントにとって非常に危険です。
SEOは「知っている」と「結果を出せる」の間に大きな距離があります。
デザインとコーディングの連携を考えられない
デザインだけを見ると、それなりに綺麗。ところが実装段階になると、「これ、どうやってコーディングするんですか?」という問題が発生する。
✅ PCでは成立していてもスマートフォンでは成立しない。✅ 画像サイズが現実的ではない。✅ アニメーションが重すぎる。✅ 画面幅によってレイアウトが破綻する。✅ CMSに入れることを考えていない。
こうした問題は、デザインと実装を別々のものとして考えているから起こります。プロのWebデザイナーは、デザインを作る段階から「実装されること」を考えます。
「ロゴもできます」「チラシもできます」でさらに事故が広がる
Webサイト制作を受注したついでに、「ロゴもできます」「名刺もできます」「チラシもできます」「SNS画像もできます」と仕事の範囲を広げる。
しかし、Webと印刷物では必要な知識が違います。
印刷用データ、カラーモード、解像度、塗り足し、フォント、入稿仕様などを理解していなければ、納品後に問題が起こります。「デザインなら何でもできます」という言葉ほど危険なものはありません。本当に何でもできる人は、むしろ自分ができない領域を明確にしています。
「できるできる系」のスキル不足によるトラブル事例
ここからは具体的な事例をみていきましょう。
① 「既存のテンプレート」しか触れず、オリジナルの要望でフリーズ
- 事例:
「完全オリジナルで集客力の高いLP(ランディングページ)を作れます!」と豪語して受注。しかし、実際はノーコードツール(WixやStudio)やWordPressの既存テンプレートの色を変えることしかできない。クライアントから「競合のように、この部分にアニメーションを入れて動きを出してほしい」「独自のレイアウトにしたい」と言われ、技術的に対応できず、言い訳を繰り返した末に音信不通(失踪)になった。 - 結果:
クライアントは広告を打つスケジュールが決まっていたため大損害。未完成のデータを引き渡され、別のプロに特急料金で依頼し直す羽目になった。
② 見た目は綺麗だが「文字が読めない・クリックできない」デザイン
- 事例:
ポートフォリオ(作品集)の見栄えが良く、「おしゃれなサイトを作ります」とアピールしてアパレルブランドのECサイトを受注。しかし、納品されたものは「背景画像と文字のコントラストが低くて文字が読めない」「ボタンが小さすぎてスマホでタップできない」「フォントが特殊すぎて読み込みに時間がかかる」という、UI/UX(使いやすさ)を無視したグラフィックだった。 - 結果:
クライアントから「デザインの基本がなっていない」と激怒され、全面的なやり直しを命じられた。デザイナー側は「これがおしゃれです」と主張し平行線に。
③ 「印刷・入稿」の知識がなく、刷り上がりが文字化け・低画質
- 事例:
「Webもチラシも、デザインなら一通りできます!」とアピールし、Webサイトと合わせて店舗オープンの折り込みチラシを受注。Web用のノリでRGBカラーのまま、解像度も低い状態(72dpi)でデータを作成し、そのまま印刷所に入稿。さらにフォントの「アウトライン化」を忘れたため、印刷所で文字化けが発生。刷り上がったチラシは文字がガビガビで色味も濁った最悪の仕上がりになった。 - 結果:
チラシは全額刷り直し。印刷代(数十万円)の損害賠償をどちらが持つかで泥沼の裁判沙汰に発展した。
④ 「パクリ(トレース)」が発覚し、商標権・著作権侵害の危機
- 事例:
「ロゴデザインも得意です」と数日で洗練されたロゴを提出。クライアントは大喜びで看板や名刺に採用したが、数ヶ月後、競合他社から「弊社のロゴと酷似している。著作権侵害だ」と警告書が届いた。実はそのデザイナーは、デザインの引き出し(スキル)がないため、海外のストックフォトサイトのロゴやピンタレストで見つけた他人の作品をほぼそのままトレース(丸パクリ)して納品していた。 - 結果:
ロゴは即座に使用中止。看板の掛け替えや名刺の刷り直し費用、さらにはブランドの信用失墜という甚大な損害をクライアントに与えた。
⑤ コーディングを考慮しない「実装不可能なデザインカンプ」の作成
- 事例:
デザインソフト(FigmaやPhotoshop)の操作だけは得意で、「コーディングまで一括でやります」と受注。しかし、Webの仕組みを理解していないため、「画面をスクロールすると文字が複雑にねじ曲がる」「3Dのような複雑な立体レイアウト」など、現在のWeb技術や予算内では実装不可能なデザインをクライアントに提示して合意をとってしまった。いざコーディング段階になり「自分の技術ではコードが書けない」と気づき、クライアントに「やっぱりデザインを変えさせてほしい」と泣きついた。 - 結果:
「最初の約束と違う」とクライアントの信頼を完全に失い、契約解除・返金要求となった。
なぜ「できるできる系」の人が増えているのか
理由は単純です。「できません」と言ったら仕事が取れないからです。
クラウドソーシングでもSNSでも、競争相手は大量にいます。そこで、「WordPressできます」「SEOできます」「マーケティングできます」「動画もできます」「ロゴもできます」と、とにかく対応範囲を広く見せる。しかし、実際の能力が追いついていない。そして案件を取った後に勉強を始める。これは一見すると「仕事をしながら成長する」という前向きな姿勢にも見えます。しかし、クライアントからすれば、その案件はあなたの練習台ではありません。お金を払って依頼している以上、成果物に責任を持つ必要があります。ここを履き違えてはいけません。
本当に怖いのは「自分ができていないことに気づいていない」こと
スキル不足そのものは、決して恥ずかしいことではありません。誰でも最初は初心者です。問題なのは、自分が何を知らないのか分かっていない状態で、「できます」と言ってしまうことです。
Web制作は非常に範囲が広い仕事です。
✅ タイポグラフィ
✅ レイアウト
✅ 配色
✅ UI/UX
✅ 情報設計
✅ ブランディング
などがあります。さらに、
✅ HTML/CSS
✅ JavaScript
✅ WordPress
✅ SEO
✅ マーケティング
✅ ライティング
✅ ディレクション
✅ クライアント対応
などが絡みます。
全部を完璧にできる人間などほとんどいません。だからプロは、自分の得意領域と弱い領域を理解しています。そして必要なら他の専門家と組みます。これが実務です。
Webデザインスクールを選ぶなら「何を教えるか」より「どこまで責任を持たせるか」
ここは、これからWebデザインを学ぶ人に強く伝えたい部分です。
Webデザインスクールを選ぶとき、「何ヶ月で学べます」「○○のソフトが学べます」「案件獲得をサポートします」だけを見るのは危険です。見るべきなのは、実際の制作現場を理解している人間が教えているか、制作実績のクオリティが高いかです。
✅「このデザインは実装できない」
✅「この構成ではユーザーが動かない」
✅「このSEO設計では競合に勝てない」
✅「このクライアントへの提案では通らない」
という判断ができます。
教科書だけでは、ここまで教えられません。
Webデザイン メンターを選ぶなら「何でも教えます」はむしろ疑った方がいい
Webデザイン メンターを探している人にも同じことが言えます。
「何でも相談してください!」「初心者でも案件獲得できます!」「月○万円稼げるようになります!」こうした言葉だけを信用してはいけません。

むしろ、「ここは私の専門外です」「この部分はエンジニアに相談した方がいいです」「SEOについては、このレベルまでなら対応できます」と、自分の限界を説明できる人の方が信用できます。
本当に実力のある人ほど、自分の守備範囲を理解しています。何でもできる人ではなく、何ができて、何ができないのかを明確に説明できる人を選ぶべきです。
AppRizzが「できること」だけを教える理由
WebデザインスクールAppRizz(アップリズ)では、単純に「Webデザインを作れるようになる」ことだけを目的にしていません。現役のWeb制作会社で仕事をしているプロデザイナーやクリエイティブディレクターが、実際の制作現場で必要になる考え方まで指導します。
✅ クライアントとのやり取り。
✅ ヒアリング。
✅ 情報整理。
✅ ワイヤーフレーム。
✅ デザイン。
✅ レスポンシブ。
✅ コーディング。
✅ SEO。
✅ ディレクション。
✅ 案件獲得。
✅ 提案。
✅ 納品。
そして、納品後の関係構築。
Web制作は、デザインを作って終わりではありません。クライアントの課題を理解し、それをWebという手段で解決し、成果につなげるところまでが仕事です。だからこそ、AppRizzでは「できます」と言うための知識だけではなく、本当にできる状態になるための指導を重視しています。
「できる」と言う前に、「本当にできるのか」を疑え
Webデザイナーとして成長するうえで、最も危険なのは「できないこと」ではありません。
「できないのに、できると思っていること」「できないのに、できると言うこと」です。
✅ 自分の弱点を知る。
✅ できることとできないことを分ける。
✅ そして、できないことを一つずつ潰していく。
これがプロになるための基本です。
案件を取ることだけを目的にして、「何でもできます!」と言い続けるのは簡単です。
しかし、そのツケを払うのは自分ではありません。クライアントです。
だからこそ、Webデザイナーを目指す人も、Webデザイン メンターを探している人も、Webデザインスクールを選ぶ人も、「この人は何を言っているか」だけではなく、「この人は実際に何を作ってきたのか」を見てください。
✅ 「できます」という言葉より、実際の成果物。
✅ フォロワー数より、現場経験。
✅ そして、優しい言葉だけをくれる人より、自分の弱点を正確に指摘してくれる人。
そこを見誤らないことが、Webデザイナーとして遠回りしないための最も重要なポイントです。
Webデザインは、口で「できます」と言う仕事ではありません。作ったものがすべてを語る仕事です。
あなたがもしクライアントならあなたに依頼しますか?他にもっと素晴らしいサイトを作るデザイナーや制作会社に依頼しませんか?WebデザインスクールAppRizzではそんな誰からも選ばれるデザイナーになるための指導を行っています。更なる自身の成長の為にお気軽に無料相談をご利用ください。
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