
Webデザインスクールを卒業したら、次はいよいよ仕事を探す段階です。
しかし、ここで、「卒業したけど、何から始めればいいのか分からない」「ポートフォリオは作ったけど、応募しても全然返事がない」「案件を探しているけど、自分にはまだ早い気がする」と悩む人は少なくありません。スクールに通っている間は、「デザインを学ぶ」「課題を制作する」ことが中心になります。一方、卒業後は自分で仕事を探し、応募し、提案し、クライアントとやり取りして、実際に仕事を受ける必要があります。つまり、スクール卒業と案件獲得の間には、もう一つ「仕事を取るための準備」が必要です。
この記事では、Webデザインスクールを卒業したあと、最初の案件を獲得するまでに何をすればいいのかを、現役Web制作会社の視点から順番に解説します。
- Webデザインスクールを卒業しただけでは案件は来ない
- まず「何の仕事を取りたいのか」を決める
- 卒業時点でポートフォリオを完成させておく
- スクールの課題をそのまま載せればいいわけではない
- 「未経験です」だけで終わらせない
- 最初の案件は「実績を作る」ことも目的にする
- 最初から高単価案件だけを狙わない
- 案件を探す場所を決める
- 「案件を探す」だけで終わらせない
- 提案文は案件ごとに変える
- 最初の案件では「仕事内容」を必ず確認する
- 見積もりと納期を甘く見ない
- クライアントとのやり取りも実績の一つ
- 初案件が終わったら、必ず振り返る
- 実績をポートフォリオに追加する
- 2件目以降は「実績の積み上げ」が重要になる
- 案件が取れないときは「スキル不足」とは限らない
- 「勉強し直す」前に、まず応募してみる
- スクール卒業後の行動をまとめると
- まとめ
Webデザインスクールを卒業しただけでは案件は来ない
まず、少し厳しいことを言います。
Webデザインスクールを卒業したからといって、案件が自動的に入ってくるわけではありません。スクールで学ぶことと、仕事を獲得することは別だからです。

スクールでは、
✅ デザインを学ぶ。
✅ 課題を制作する。
✅ 添削を受ける。
✅ 作品を改善する。
といった経験ができます。

しかし、卒業後は、
✅ 自分に何ができるのか整理する。
✅ 制作物を見せる。
✅ 仕事を探す。
✅ 応募する。
✅ 提案する。
✅ クライアントとやり取りする。
✅ 見積もりを出す。
✅ 納期を守る。
といった行動が必要になります。
つまり、卒業後に必要なのは「さらに勉強すること」だけではありません。
「仕事を取るために動くこと」も必要なのです。
まず「何の仕事を取りたいのか」を決める
最初にやるべきなのは、案件を探すことではありません。
「どんな仕事を取りたいのか」を決めることです。
✅ Webサイトのデザイン。
✅ LPデザイン。
✅ バナー制作。
✅ コーポレートサイト制作。
✅ WordPressサイト制作。
✅ Webサイトの修正。
✅ 既存サイトのデザイン改善。
などがあります。
これらは同じ「Webデザイン」でも、必要なスキルや案件の探し方が違います。
例えば、まだ企業サイトを一から制作できるほどの経験がないのであれば、最初から大型サイトの制作案件だけを狙う必要はありません。

まずは、
✅ バナー制作。
✅ LPの一部デザイン。
✅ 既存サイトのデザイン修正。
✅ 小規模サイト。
など、自分の現在のスキルで対応できる仕事から始める方法もあります。
「Webデザインなら何でもできます」とするより、「企業サイトのデザインができます」「LPデザインができます」など、自分の得意分野や対応範囲をある程度明確にしたほうが、相手にも伝わりやすくなります。
卒業時点でポートフォリオを完成させておく
案件を探す前に、ポートフォリオを確認しましょう。
ここで重要なのは、「ポートフォリオがあるか」ではありません。「仕事を任せても大丈夫そうな内容になっているか」です。

例えば、
✅ バナーを何枚か並べただけ。
✅ スクールの課題だけが並んでいる。
✅ 作品の説明がほとんどない。
✅ 制作した目的が分からない。
✅ 自分がどこを担当したのか分からない。
という状態では、相手があなたのスキルを判断しにくくなります。
✅ 何を制作したのか。
✅ 誰をターゲットにしたのか。
✅ どんな目的の制作物なのか。
✅ 自分はどこを担当したのか。
✅ 使用したツールは何か。
✅ どのような意図でデザインしたのか。
などを整理しておきましょう。
特に、実務経験がない場合は、「何を作ったか」だけでなく「どのように考えて作ったか」を伝えることが重要です。
スクールの課題をそのまま載せればいいわけではない
スクール卒業後によくあるのが、「スクールで作った課題を全部ポートフォリオに載せる」というパターンです。もちろん、スクール課題を掲載すること自体は問題ありません。しかし、数を増やすことを目的にするのはおすすめできません。
例えば10作品あっても、すべて似たようなデザインであれば、対応できる仕事の幅が伝わりません。
✅ 企業サイト。
✅ LP。
✅ バナー。
✅ サービスサイト。
など、異なる目的の制作物があれば、「どのような制作ができるのか」が伝わりやすくなります。
また、似たような作品を大量に並べるよりも、自分の中で完成度の高い作品を厳選したほうが、ポートフォリオ全体の印象が良くなることもあります。
「未経験です」だけで終わらせない
案件に応募するとき、「Webデザインスクールを卒業したばかりの未経験ですが、よろしくお願いします」だけでは、相手からすると判断材料がほとんどありません。未経験であることを隠す必要はありません。むしろ、実務経験がないなら正直に伝えるべきです。
「何ができるのか」
「どんな制作物があるのか」
「どこまで対応できるのか」
を伝える必要があります。
例えば、「Webデザインスクールで企業サイト・LP・バナー制作を経験し、Photoshop・Illustratorを使用したデザイン制作に対応できます。ポートフォリオに制作例をまとめています。」というように、未経験という情報だけで終わらせないことが重要です。
最初の案件は「実績を作る」ことも目的にする
最初の案件では、報酬だけを見るのではなく、「実績として公開できるか」も確認しましょう。
もちろん、仕事なので報酬を受け取ることは重要です。しかし、最初は実績がないため、「この人に仕事を任せたことがあります」という証拠を作りにくい状態です。
✅ 制作物を実績として掲載できるか。
✅ クライアント名を掲載できるか。
✅ 制作内容をポートフォリオで紹介できるか。
といった点も確認しておくといいでしょう。
ただし、クライアントの許可なく実績として公開してはいけません。
実績掲載については、案件を受ける前に確認しておくのがおすすめです。
最初から高単価案件だけを狙わない
案件を探し始めると、「できれば高単価の案件を取りたい」と思うでしょう。
それ自体は悪いことではありません。しかし、実績がほとんどない段階で、高単価案件だけに応募していると、なかなか仕事が決まらない可能性があります。
「実務経験がない」
「制作実績がない」
「クライアントワークの経験がない」
という状態では、どれだけスキルがありそうに見えても、実際の仕事を任せることに不安があります。
そのため、最初は自分のスキルで十分対応できる規模の案件から実績を作っていくという考え方も必要です。ただし、「実績がないから無料でやります」という考え方はおすすめしません。仕事として受ける以上、適切な報酬を設定することも重要です。
案件を探す場所を決める
次に、実際に案件を探します。
案件の探し方にはさまざまな方法があります。
✅ SNS。
✅ 知人からの紹介。
✅ 制作会社への営業。
✅ 求人サイト。
✅ Web制作会社のパートナー募集。
✅ オンラインコミュニティ。
などです。
最初からすべてに手を出す必要はありません。
まずは、自分が応募しやすい場所を2〜3個程度に絞って、継続的に案件を探すほうが効率的です。
✅ クラウドソーシングなら毎日案件を確認する。
✅ SNSなら制作実績を定期的に投稿する。
✅ 制作会社への営業なら、対応できそうな会社をリストアップする。
というように、具体的な行動に落とし込みます。
「案件を探す」だけで終わらせない
案件を探している人にありがちなのが、「良い案件が出るまで待つ」という状態です。
しかし、案件は待っているだけでは増えません。
✅ 毎日案件をチェックする。
✅ 条件に合う案件には応募する。
✅ 制作会社に営業する。
✅ SNSで制作物を発信する。
✅ 過去の制作物を改善する。
というように、自分から動く必要があります。
特に最初の案件では、応募数が少ないと「自分には才能がない」と判断してしまいがちです。
しかし、最初から一件目がすぐ決まるとは限りません。

✅ 応募しても返信がない。
✅ 提案しても選ばれない。
✅ 面談まで進まない。
ということもあります。
そこで重要になるのが、「なぜ選ばれなかったのか」を考えて改善することです。
提案文は案件ごとに変える
クラウドソーシングなどで応募する場合、毎回同じ文章をコピーして送るのはおすすめできません。
クライアントが募集している内容を確認し、「なぜこの案件に応募したのか」「自分が何を対応できるのか」「どの制作経験が今回の案件に関連するのか」を伝えるようにしましょう。
✅ 企業サイトの制作例を最初に見せる。
✅ LP案件ならLPの制作例を見せる。
✅ バナー案件ならバナーの制作例を見せる。
というように、相手が知りたい情報を先に出します。
「私はこれだけできます」と自分の話だけをするのではなく、「今回の依頼に対して、自分はこれができます」という伝え方に変えることが重要です。
最初の案件では「仕事内容」を必ず確認する
案件が決まったからといって、すぐに制作を始めるのも危険です。
最初に確認しておきたいのが、仕事内容です。
✅ どこまで自分が担当するのか。
✅ デザインだけなのか。
✅ コーディングも必要なのか。
✅ ページ数は何ページなのか。
✅ 修正回数はどの程度なのか。
✅ 納期はいつなのか。
✅ 素材は誰が用意するのか。
✅ 原稿は誰が用意するのか。
✅ 実績公開は可能なのか。
などです。
特に「Webサイト制作一式」のような案件では、デザインだけだと思っていたら、コーディングや公開作業まで含まれていたというケースもあります。受注前に作業範囲を明確にしておくことで、後から「そこまでやるとは思っていなかった」というトラブルを防ぎやすくなります。
見積もりと納期を甘く見ない
初案件では、「とにかく仕事を取りたい」という気持ちから、安い金額や短い納期を提示してしまうことがあります。しかし、これは注意が必要です。Webデザインは、実際に作業を始めると想像以上に時間がかかることがあります。
✅ 構成確認。
✅ デザイン制作。
✅ 素材調整。
✅ 修正。
✅ レスポンシブ対応。
✅ コーディング。
✅ 確認。
✅ 修正。
など、制作にはさまざまな工程があります。
そのため、単純に「このページなら数時間で作れそう」という感覚だけで見積もると、後から苦しくなることがあります。最初のうちは、自分がどの作業にどれくらい時間を使ったのか記録しておくと、次回以降の見積もりにも役立ちます。
クライアントとのやり取りも実績の一つ
初案件では、制作物だけに意識が向きがちです。
しかし、実際の仕事ではコミュニケーションも重要です。
✅ 返信を早める。
✅ 質問をまとめて送る。
✅ 分からないことを勝手に判断しない。
✅ 納期を守る。
✅ 遅れそうなら早めに伝える。
✅ 修正内容を確認する。
✅ 納品前に自分でチェックする。
といった基本的なことです。
制作会社の立場からすると、デザインが上手くても、連絡が遅かったり、指示が伝わらなかったりする人には継続して仕事をお願いしにくくなります。逆に、一定のデザイン品質があり、やり取りがスムーズな人は仕事を任せやすくなります。最初の案件では「良い作品を作る」だけでなく、「安心して仕事を任せてもらう」ことも意識しましょう。
初案件が終わったら、必ず振り返る
無事に納品できたら、それで終わりではありません。
初案件は、次の仕事につなげるための材料になります。
✅ どの作業に時間がかかったか。
✅ どんな修正が多かったか。
✅ クライアントから何を評価されたか。
✅ 自分に足りなかったスキルは何か。
✅ 事前に確認しておけばよかったことは何か。
などを振り返ってみましょう。
そして、次の案件で同じ問題が起きないように改善します。
✅ デザイン制作に時間がかかりすぎたなら、制作手順を見直す。
✅ 修正が多かったなら、最初のヒアリングを改善する。
✅ レスポンシブ対応で苦労したなら、HTML・CSSの知識を補強する。
というように、実案件を次の成長につなげます。
実績をポートフォリオに追加する
初案件が終わったら、実績として掲載できるか確認しましょう。
✅ 制作したサイト。
✅ 担当した範囲。
✅ 制作期間。
✅ 使用ツール。
✅ 制作時の課題。
✅ 自分が行ったこと。
などを整理して掲載します。
これによって、それまでの「スクール課題」中心のポートフォリオから、「実際のクライアントワークを経験したポートフォリオ」に変わります。この違いは大きいです。もちろん、実案件を一つ経験したからといって、すぐにベテランになれるわけではありません。しかし、「実際のクライアントとやり取りして制作した」という経験は、その後の案件獲得で説明できる材料になります。
2件目以降は「実績の積み上げ」が重要になる
最初の案件を取った後は、次の案件につなげていきます。
ここで意識したいのが、「何でもいいから案件を増やす」ことではありません。自分が今後取りたい仕事に近い実績を増やすことです。
✅ 企業サイトを中心に仕事をしたいなら、
✅ 企業サイトの制作実績を増やす。
✅ LPを中心にしたいなら、LPの実績を増やす。
✅ 美容・サロン業界を狙うなら、その業界の制作実績を増やす。
こうすると、徐々に「この分野の仕事ができる人」という見せ方ができるようになります。
案件が取れないときは「スキル不足」とは限らない
何件応募しても案件が取れないと、「もっと勉強しないといけない」と思ってしまう人がいます。
もちろん、制作物の品質に問題がある場合はスキルアップが必要です。しかし、原因が必ずしもスキルとは限りません。

例えば、
✅ ポートフォリオが分かりにくい。
✅ 応募先と作品が合っていない。
✅ 提案文が案件ごとに調整されていない。
✅ 対応できる仕事内容が伝わらない。
✅ 応募数が少ない。
✅ 価格設定が合っていない。
など、別の原因も考えられます。
そのため、案件が取れないときは、「自分のデザインが下手だからだ」とすぐに決めつけず、案件獲得までのどこで止まっているのかを確認しましょう。
「勉強し直す」前に、まず応募してみる
Webデザインを学んだ人によくあるのが、「もう少し勉強してから応募しよう」という考え方です。
もちろん、最低限のスキルは必要です。しかし、いつまでも勉強を続けていると、実際の仕事を経験するタイミングを逃してしまいます。スクールを卒業したのであれば、自分の現在のスキルで対応できる案件を探してみましょう。

応募してみて、
「このスキルが足りない」
「この質問に答えられなかった」
「この制作に時間がかかった」
ということが分かれば、そこから学べばいいのです。
実務を経験することでしか分からないこともあります。
スクール卒業後の行動をまとめると
スクール卒業後にやることを順番に整理すると、次のようになります。
STEP1:取りたい仕事を決める
Webサイト、LP、バナーなど、自分がまず狙う仕事を決めます。
STEP2:ポートフォリオを整える
制作物を厳選し、自分が何をできるのか分かる状態にします。
STEP3:対応できる範囲を決める
デザインだけなのか、コーディングまで対応できるのかなどを明確にします。
STEP4:案件を探す
クラウドソーシング、SNS、求人、制作会社への営業、紹介など、自分に合う方法で案件を探します。
STEP5:案件ごとに提案する
募集内容を確認し、自分の経験や制作物がどう役立つのかを伝えます。
STEP6:仕事内容・納期・金額を確認する
受注前に作業範囲や修正、納期、報酬、実績公開などを確認します。
STEP7:制作・納品する
クライアントとのやり取りを行いながら、責任を持って制作します。
STEP8:実績として整理する
許可を得たうえで制作実績をポートフォリオに追加します。
STEP9:振り返って改善する
初案件で分かった課題を次の案件に活かします。
この流れを繰り返すことで、少しずつ「スクール卒業生」から「実務経験のあるWebデザイナー」に変わっていきます。
まとめ
Webデザインスクールを卒業したからといって、すぐに案件が取れるわけではありません。

スクール卒業後には、
「自分は何ができるのか」
「どんな仕事を取りたいのか」
「どうやって仕事を探すのか」
を自分で考えて行動する必要があります。
最初にやるべきことは、さらに何ヶ月も勉強し続けることではありません。
✅ 自分の現在のスキルを整理する。
✅ ポートフォリオを整える。
✅ 狙う仕事を決める。
✅ 案件を探す。
✅ 応募する。
✅ 提案する。
そして、
✅ 実際に仕事を経験する。
という流れを作ることです。
最初の案件では、思ったように進まないこともあるでしょう。

✅ 修正が多くなることもあります。
✅ 制作に時間がかかることもあります。
✅ クライアントとのやり取りで戸惑うこともあります。
しかし、そうした経験こそが、次の案件につながる実務経験になります。Webデザインスクールの卒業はゴールではありません。むしろ、そこから「学んだことを仕事に変える」段階が始まります。最初から完璧なWebデザイナーになる必要はありません。今の自分に対応できる仕事を見つけ、実際に仕事を経験し、そこで分かった課題を改善していく。この繰り返しが、最初の案件から次の案件へつながっていきます。
